回想録Ⅱ~他犬が苦手なわんちゃん~
皆さんおはようございます。
今回の記事も前回と同じ、過去に実際に関わらせていただいたわんちゃんとのトレーニングを記事にしました。
少しでもしつけでお悩みの方の参考になれば幸いです。
CASE2他のわんちゃんが苦手
◆相談内容
チョコちゃん(仮名)3歳 柴犬
他の犬を見ると興奮し、制御ができなくなる。特に散歩中に他の犬と会うと大変。
リードを引っ張り向かっていく。同居している犬にも攻撃的になることがある。
◆レッスン初日
お散歩レッスン初日、さっそく問題のシチュエーションに遭遇しました。
対面からわんちゃんを連れた方が歩いてこられました。そのわんちゃんが視界に入った瞬間、吠えながらリードを強く引っ張り向かっていこうとしました。
今回は道路を挟んでの遭遇だったので飼い主さんは引っ張られながらもなんとかその場を離れることができましたが、もっと狭い道で出会ってしまったら…と不安になっていらっしゃいました。
◆問題の原因
チョコちゃんはなぜ他のわんちゃんに向かっていくのでしょう?
①犬が嫌いだから
②遊びたいがどう遊んだらよいかわからない
③主人(飼い主)を守らないといけないと思っている
④自分以外の犬が怖い
様々な理由が考えられます。プロのトレーナーはわんちゃんが生まれてから、今までの過ごし方や環境を踏まえた上で予想を立ててトレーニングをしていくのですが、今回は④だと私は考えました。
人間の感覚だと怖いから向かっていくというのはなかなか想像しにくいですよね?
わんちゃんの感覚だと自分の安全(あるいは飼い主の安全)のため、他のわんちゃんを排除しなければならないと捉える場合があります。
これはあくまで可能性です。必ずしもそうであると断言はできません。
ただ、間違ったアプローチをしないために、ここでの判断がとても大切です。
◆第一段階
まず一番気を付けることは今回の場合「他の犬を見て興奮する」という経験をさせないことです。
具体的には散歩中他の犬と出会わないように散歩の時間を工夫したり、万が一出会ってしまった場合はなるべく早くその場を去るということが大切です。
◆第二段階
第一段階と並行してチョコちゃんに「まて」を教えていきました。
「まて」はお座りか伏せの状態で静かに待っているというトレーニングです。
普段からこの「まて」を練習しておくとわんちゃんは
まて=静かに待つ
と学習します。吠えたり興奮したとき、「まて」と声を掛けることで少しずつ落ち着くまでのスピードが上がってきます。
飼い主が落ち着いて指示をすることでわんちゃんに安心感を与えます。
また、まてやお座りをさせることでわんちゃんの意識を切り替えることができます。
「犬が来た、怖い」から「ご主人の指示を聞かなきゃ」と少しずつ、練習すると意識の切り替えができるようになってきます。
◆第三段階
まてがある程度できてきたら次はお散歩中の実戦練習です。前からわんちゃんに歩いてきてもらい、チョコちゃんはお座りをした状態でまてをさせます。
最初はもぞもぞしたり動きそうになっていましたが回数を重ねるとだんだんと落ち着いてまてができるようになり、最終的には他のわんちゃんが来ても知らんぷりして平気でまてができるようになりました。
◆最終段階
最後は前からわんちゃんが来たとき、お互い歩いてすれ違うという練習をしました。
飼い主の左側について歩く脚側行進については前に記事にしましたのでよろしければご覧になってください。
ここまでの練習でチョコちゃんはお散歩中他のわんちゃんが近くに来ても、吠えずに落ち着いてすれ違うという経験を積んでいます。
ですのでお互いに歩きながらのすれ違いもスムーズにいきました。
しっかりと飼い主さんの左側について脚側行進をすることでチョコちゃんにも飼い主さんにも余裕と安心感が生まれました。
それが良い結果につながったと思います。
◆最後に
トレーニングはいかにわんちゃんに良い、正しい行動を経験させるかということと、悪い経験をさせないかが大切です。
良い経験も悪い経験もわんちゃんは記憶として積み重ねていきます。
その経験を紐解き正しいアプローチをしトレーニングを行うのがトレーナーの務めであり、日々正しく良い経験をさせてあげるよう取り組むのが飼い主さんの役目だと思っています。
今回の記事は以上です。少しでも参考になれば嬉しいです。
今回も読んでくださりありがとうございました。
DogTrainingGINGA代表 上石圭一郎
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